連日のアンサンブル稽古~「スキトオリメ」役 大槻孝志さんと「女王ザル」役 田崎尚美さん

制作の現場から

オペラ『ニホンザル・スキトオリメ』、熱いアンサンブル稽古が続きます。この創造のるつぼの最大の熱源は、連日の稽古にジーンズ姿で登場する作曲者・間宮芳生の圧倒的な迫力と存在感(まもなく90歳)!絵かきザル・スキトオリメ役のテノール大槻孝志さん、女王ザル役のソプラノ田崎尚美さんの組み合わせの稽古も、間宮芳生と、公演を指揮する野平一郎が立ち合い、副指揮者・四野見和敏さんの質問にも明快に答えて共に役作りを詰めていきます。まだ暑さの残る頃から演奏至難の楽譜を読み解き、歌手の個人稽古を支えてくださっているスペシャリストのコレペティトゥール矢田信子さんのピアノにも、一層熱が入ります。
このオペラは、独唱歌手5人のうち3人が低音男声(バリトンまたはバス・バリトン)で、ソプラノとテノールは一人ずつです。それだけに、スキトオリメ(テノール)と女王ザル(ソプラノ)が直接に対話する場面は、いわばとっておきの山場。スキトオリメは”絵描きザル”、つまり芸術家。”女王ザル”は権力者。物語「ニホンザル・スキトオリメ」は重層的なテーマを含んでいて、さまざまなテーマが浮かび上がってくるのです。タイトルロールのスキトオリメという登場人物(登場ザル)には、芸術家である原作者(詩人)と作曲家自身がそれぞれ何かしら投影されているにちがいありません。間宮作品に並々ならぬ意欲を持って取り組んでくださる大槻孝志さんにスキトオリメを歌っていただけるこの公演、聴き逃せません!皆様、1/27(日)、すみだトリフォニーホールへ!