間宮芳生、「くすの木」北川辰彦さんの歌稽古に立ち合う

制作の現場から

オペラ『ニホンザル・スキトオリメ』、寒風をものともせず、熱い稽古が続きます。先週、この物語全体の語り部役である「くすの木」北川辰彦さんの個人稽古に、作曲家・間宮芳生が(今回もジーンズにシックなニットという軽快なコーディネートで登場、間もなく90歳!)が立ち合いました。ピアノはもちろん、名コレペティトゥーア矢田信子さんです。
このオペラは全1幕・プロローグとエピローグを置く1場8景(つまり10場面)で構成されますが、「くすの木」は何と!8つの場面に登場。ほぼ出ずっぱりで歌い続ける、最も出番も多く大変重要な役です。ひとつひとつの音、言葉の歌い方、音色の作り方、さらに役作りの核心となる設定などの解釈がやりとりされ、作曲家の体内に半世紀を超えて生きていた音楽が、北川さんの声によって「いまここに聴かれる音楽」に新たに生れていく瞬間。「くすの木」には、帰り道に思わず口ずさみたくなるような名アリアも!どうぞご期待ください。