山田一雄没後20周年記念/交響作品展
指揮者として知られている山田一雄が亡くなってから、今年は20年目にあたる。山田の指揮ぶりは人々の記憶に強く残っていて、昨年から今年にかけて数多くの演奏録音記録が掘り起こされCDとなって、改めて注目を浴びている。 山田は、1912年東京に生れて1991年横浜に没した。東京音楽学校(現・東京藝術大学)に入学し、G.マーラー(1860〜1911)の弟子であったドイツ・バイエルン出身の指揮者であるクラウス・プリングスハイム(1883〜1972)に強い影響を受けて指揮と作曲とを師事した。指揮者として輝かしい業績を残し、国内外の管弦楽作品を多数初演、新交響楽団(現・NHK交響楽団)や京都市交響楽団、群馬交響楽団、新星日本交響楽団(現・東京フィルハーモニー管弦楽団と合併)、神奈川フィルハーモニー管弦楽団などの発展に尽くしたほか、イスラエル・フィルハーモニー管弦楽団ほか海外の数多くのオーケストラにも客演した。また、母校である東京藝術大学指揮科の教授として教育にも力を注いだ。山田に師事した指揮者としては、石丸寛、小林研一郎、小泉和裕、矢崎彦太郎、松尾葉子、手塚幸紀、田中良和、本名徹次らが活躍をしている。 山田の初期の管弦楽作品は、後期ロマン派とフランス音楽の影響を強く受けながら複調での作曲を試みるなど、独自なモダニスト振りが発揮されている。作曲者27歳の時の作品であり円熟した管弦楽書法を見せている「交響的木曾」。日本には数が少ないオーケストラ付き歌曲である、「日本の歌」。交響組曲「呪縛」は、日本では音楽作品として残ることの少ない創作バレエ音楽の貴重な作品のひとつであり、「おほむたから」は太平洋戦争終戦間際に作曲された問題作である。 |