「女王ざるの間奏曲」

作曲者自身による楽曲解説

間宮芳生

「女王ざるの間奏曲」は、オペラ「ニホンザル・スキトオリメ」が50余年ぶりに再演されるコンサートの機会に、オーケストラ・ニッポニカの委嘱により作曲、初演することになった。本日の再演においてこのオペラを、(二幕立てのように)前・後二部分に分け、その幕間に演奏するために、5分程の短いオーケストラのための間奏曲として作曲したものである。
この間奏曲自体、二つの部分から成る。第一の部分は、オペラの第1景で、物語の証人である大くすの木が、かしこく、強く、わがままな女王ザルのことを、「女王ザルは満足をすることがない。次から次へと、絵を描かせ、獲物を運ばせる」とうたい語る部分の音楽による(モデラート)。そして、第二の部分は、老いて、みずからの死期をさとった女王ザルが、「死にたくない、死にたくない、死んでも---」と絶唱するメロディーの部分の音楽をもとに作られ(レント)、短かいコーダがついて終る。

2019年1月27日初演時の公演プログラムより転載〕

初演:2019年1月27日 すみだトリフォニーホール大ホール、野平一郎指揮、芥川也寸志メモリアル オーケストラ・ニッポニカ第34回演奏会《間宮芳生90歳記念》

【編成】Picc, 2Fl, 2Ob, 2Cl, 2Fg, 4Hr, 2Tp, 3Tb, Tuba, Perc (Glo, S-Cym, SD, Tri) , 弦5部
【楽譜】スコア:作曲者、パート譜:オーケストラ・ニッポニカ制作