ものがたり

ニホンザル王国の女王ザルは、自分の美しさを永遠のものにするため、絵描きザルたちに肖像画を描かせます。しかし、美しく描かれてもまだ満足出来ない聡明な女王ザルは、「サルデアッテサルデナイ、カミサマ」になろうとします。その欲望をかなえる間もなく、ニホンザル王国と敵対するイヌたち(文字通りの犬猿の仲)との激しい戦いが始まり、やがてイヌを従えた人間たちの攻撃によって、ニホンザル王国は炎に包まれ滅亡してしまいます。一部始終を見た「クスノキ」が語り掛けるのは…

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あらすじ…

プロローグ「年輪の秘密」
クスノキの木株に秘められた記憶を知ろうとする男に、クスノキは「イヌよりもサルが強かった時代」について語り始める。

第1景「森の肖像画コンテスト」
森で女王ザルを描いた肖像画のコンテストが行われている。女王ザルはどの画も気に入らない。オトモザルは、サルの真の美しさとコンテストの意図について、改めて絵描きザルたちに問いかける。ソノトオリメとスキトオリメがすすみでて答え、女王はスキトオリメの答えが気に入る。「毛並みがふさふさしたサルと、ガイコツ」を描いたスキトオリメの画に一等賞が与えられる。

第2景「サルたちの姿とたましい」
コンテストのその後について、クスノキが語る。
スキトオリメは、サルの真相を描きつくそうと長い旅に出て、人間の登場を知る。一方、森では絵描きザルたちがスキトオリメの絵の真似ばかり描く。女王ザルは骸骨を描くことを禁じる。彼女の心は満足しないままだ。

第3景「美しい女王ザルの望み」
森に帰ったスキトオリメは、女王ザルに命じられて肖像画を描くが、女王は気に入らない。オトモザルは「なんでもそっくりそのとおりに」描くソノトオリメを呼ぶ。できあがった画は似てはいるが「きれいすぎ」て、やはり女王の気に入らない。
再びスキトオリメを召した女王は、人間や神の存在を知らされ、自分を「永久に死なないサルノカミサマのように」描いてほしい、と懇願する。

第4景「画かきザルの投獄」
スキトオリメはついに会心の肖像画を描きあげる。その画を見た女王ザルは、スキトオリメを牢屋(クスノキのほら穴)へ入れてしまう。

第5景「奇怪な画 ざわめく森」
スキトオリメが描いた画が、次第に女王の心を追い詰める。折しも、敵対するイヌたちとの戦いが迫る。女王ザルは「サルノカミサマ」となり、ソノトオリメが描いた自分そっくりの画をサルたちに「おまもり」として与える。サルたちは、この画があればサルノカミサマにまもられて死んでも死なない、と歌う。

第6景「ホラアナの爪あと」
投獄されたスキトオリメの様子と、サルとイヌの戦争について、クスノキが語る。
スキトオリメは、「サルノユーレイ」の画をほら穴の壁に彫るようにして必死に描き続ける。森ではサルとイヌの長い戦争が続く。やがてイヌは人間になつき、サルは人間と武器によって攻められて形勢不利になってゆく。

第7景「末期の耳」
死を恐れる年老いた女王ザルに、オトモザルが、サルたちは皆「若くて美しい」女王の肖像画を持っている、と言って安心させる。女王ザルは死に、イヌは人間によって森を焼き払わせにかかる。

第8景「炎あれくるう」
森が焼かれ、サルたちはクスノキのほら穴の中に逃げ込む。すべて炎に包まれ、サルたちの断末魔の様子が描かれる。

エピローグ「芽生えの肌ざわり」
クスノキは、自分のほら穴の壁に描かれたスキトオリメの画の秘密を男に説き明かす。男は、「見えなかったものが見えてきた」と歌う。(完)


登場人物
女王ザル:美しく聡明。自分の美しさにも命にも限りがあることに気付いている。
オトモザル:ひたすら女王ザルの気に入るように立ちまわろうとする、ニホンザル王国の大臣。
スキトオリメ:女王ザルにとって唯一思い通りにならない、「見えないもの」を描く絵描きザル。
ソノトオリメ:「見たその通りに」描くことが一番上手い、絵描きザル。
クスノキ:ニホンザル王国の盛衰を自分の体に刻み付けて今に伝える、語り部。
男:「なかなかいい目」をもち、クスノキが秘めた記憶の物語に耳を傾ける。

ききどころ
おもな登場人物はサルたちと木。たった一人の人間である「男」は、歌手ではなく俳優が演じます。「男」と「クスノキ」が、年輪の秘密を解き明かしながら物語にいざなうプロローグから、リュートの古風な響きに彩られたエピローグまで、ききどころ満載です。

(第1景以降のききどころは近日追加公開。お楽しみに!)